資産管理法人(合同会社)を設立する(6)【オンライン登記 – 運が重要】

法人

さて、前回まででようやく登記に必要な書類がそろいました。

(前回の記事はこちら)

これを印刷・捺印して、法務局に提出します。

会社設立 freee では、以下のように提出すべき法務局を教えてくれます。

必要な持ち物なども教えてくれて、超親切ですね。

あれ?ここまでオンラインでできて、最後は紙なの?しかもわざわざ法務局に出向かないといけないわけ?確定申告も e-Tax でオンラインで完結できるのに?

と思った賢明なあなたに向けての記事です。

先に結論を書くと、こんな感じです。

  • 登記のオンライン申請はいろいろ難易度が高いのでオススメしない
  • 仮にオンライン申請できたとしても、どのみち法務局には行くか、郵送の必要がある
    (絶対ではないけれど、ほぼ)
  • けど、登記ねっとには登録しておくと後々ベンリ

オンライン登記は難易度高し!

今回、実際に商業・法人登記、つまり会社の登録をオンライン登記で試しました。

自分は e-Tax でのオンライン確定申告は毎年やっていて、

「お、これ結構使いやすいね。お役所系のシステムにしてはやるじゃん。今年は Chrome 対応もしてるし。さすが国税。

・・・くらいに思える程度の IT リテラシーはありますが、それでも登記のオンライン申請は相当に難しかったです(やり方さえわかってしまえば何とかなるけど)。

基本的には、おとなしく登記必要書類を紙に印刷して法務局に持っていくことをオススメします。

必要環境

登記のためには「申請用総合ソフト」のインストールが必要です。

ソフトウェアのダウンロード | 登記・供託オンライン申請システム 登記ねっと 供託ねっと
申請用総合ソフトのほか、各手続の申請・請求に必要となるソフトウェアをダウンロードできます。

Windows 8.1 以降のみ対応のようですね。Mac はダメです。

あとはマイナンバーカードとリーダー(Pasori など)が必要です。

PC の e-Tax で確定申告をやられているような方であれば、環境的には大丈夫です。

オンライン登記でできること・できないこと

少なくとも、一人社長レベルの商業・法人登記については、「法務局に行けばできるけど、オンライン登記ではできない」というモノはありません。

法務省も「一人会社の設立登記申請は完全オンライン申請がおすすめです!」とそのものズバリなサイトを用意しているくらいです。

法務省:一人会社の設立登記申請は完全オンライン申請がおすすめです!

会社設立 freee がオンライン申請に全く触れていない時点で、推して知るべしですが・・・

オンライン登記でできないことと言えば、印鑑カードの申請(後述)くらいだと思います。

オンライン登記のメリット・デメリット

メリットとしては、法務局にわざわざ出向かなくてもいいというのがやはり大きいですね。

家での作業で完結できます。

もう1点挙げるとすると、「すぐに会社を設立できる」というのがあります。

どういうことかというと、法的な「会社設立日」は、「法務局が登記申請を受理した日」なんですね。

オンライン登記を行えば、午後遅い時間とかでもない限り、登記申請の受理自体はその日中に行ってくれます。

たとえ、申請書類に不備があってもです。

つまり、「会社設立日をこの日にしたい!でもどうしても申請の準備が間に合わない!」というときに、とりあえずオンライン申請をしておけば、会社設立日をオンライン登記申請した日に設定することができます。

(とはいえ、全然準備できていないの申請するのはやめましょうね)

デメリットとしては以下の3つでしょうか。

  • 平日午前8時30分から午後9時しか使えない
  • 素人にはおおよそ対応できないレベルの難易度
  • 電子署名できるかどうかは運しだい

また平日しか使えないのかよ!(2回目)・・・というのは許容するとして(まぁ、午後9時までは使えるし)。

やはり難易度が高いのが問題です。

一応、一通りの手順書などは用意してくれてはあるのですが・・・とっちらかっていて、どこに必要な情報があるかがわからない。

必要な文書を見つけたとしても、それが本当に今自分がやりたい内容かどうかもわからないし、量も膨大(362ページ!!)・・・と、これでもかと心をへし折ってきます。

電子署名の件については後述します。(これが最大のハードルかもしれない・・・)

登記の流れ

実際の作業は以下のような流れで進めていきます。

  1. 登記ねっとに登録
  2. 申請用総合ソフトのダウンロード・セットアップ
  3. 登記情報の入力
  4. 添付書類の添付
  5. 電子署名の付与
  6. 登記情報送信
  7. 登録免許税の納付
  8. 印鑑カードの交付申請(法務局へ行くか郵送申請)
  9. 登記事項証明書と印鑑証明書の取得

厳密には「商業・法人登記」の作業、つまり「会社を作る」ための作業は7までで完了です。

しかし、実際に法人登記をした直後は、法人用銀行口座の作成などで登記事項証明書や印鑑証明書が必要になることが多いので、こちらも一連の流れに含めています。

このうち、8の「印鑑カードの交付申請」だけ、オンラインではできません。
(たぶんできないと思う・・・しらべた限りではわかりませんでした)

ちなみに、少し前(自分がまさに登記の処理をいろいろやっていたころ)までは印鑑届出が必要で、これは法務局に行くか、郵送で対応する必要がありました。

しかし、令和3年2月15日から、オンライン申請時には印鑑届出が任意となりました。

法務省:商業登記規則が改正され,オンライン申請がより便利になりました(令和3年2月15日から)

ただ、いずれにしても銀行口座作成などで印鑑証明が必要になってくるはずなので、印鑑は提出しておいた方が良いです。

また、オンラインで登記申請を行うときに限って、オンラインでも印鑑提出ができるようになったとのことです。

自分が登記を行ったのはこれよりギリ前だったので、印鑑の提出のためだけに法務局に行きました・・・(オンラインでの印鑑届はやってません)

オンライン登記の方法

ここからは、実際の登録方法についてみていきます。

登記ねっとに登録

登記ねっとのページの左側、「申請者情報登録」をクリックして、必要な情報を入力していきます。

登記・供託オンライン申請システム 登記ねっと 供託ねっと
登記・供託オンライン申請システムは、不動産登記、商業・法人登記、動産譲渡登記、債権譲渡登記、供託、成年後見登記及び電子公証に関する手続をオンラインにより申請するシステムです。

ここは特に難しいところはないはず。

申請用総合ソフトのダウンロード・セットアップ

今回やりたいのは「商業・法人登記」ですが、これをやるには申請用総合ソフトが必要です。

申請用総合ソフトのダウンロードページからダウンロードし、インストーラーを起動します。

インストール自体は特に難しいところはありません。

インストール」をクリック。

インストール処理が開始されます。

何やら内部データの更新版があるようなので、「はい」をクリックして更新します。

更新はすぐに完了します。

ショートカット作成はお好みで。

起動すると、ログインダイアログが表示されます。

ここで入力する申請者 ID とパスワードは、事前に登記ねっとで登録しておいたものを入力してください。

時間外だと怒られてオフラインモードで起動しますが、とりあえず申請書類を作るだけならオフラインでもできます

ここまでで、申請用総合ソフトのセットアップは完了です。

登記情報の入力

さてここからが本番、実際に登記を申請するための情報を入力していきます。

アクション」→「申請書作成」をクリック。

商業登記申請書」→「登記申請書」→「登記申請書(会社用):株式会社・・・」の順に選択。

申請書の作成画面が開きます。

先頭の「件名(必須)」となっているのは、管理上の名前です。適当に付けておきましょう。

右上の「氏名又は法人団体名」は自分の名前をカナで入れておきます。

さて、順に行きます。

まずはいきなりのノーヒントで「    登記申請書」という項目がありますが、ここには「合同会社設立」と入れておきます。

会社・法人の指定方法」は、「オンライン会社・法人検索(推奨)」となっていますが、ガン無視して「会社・法人情報直接入力」を選択します。

既に登記済みの法人の情報を変更する場合は「オンライン会社・法人検索」が便利なんだとは思いますが、これから登録しようとしている会社の情報は検索しても出てきません。当たり前ですが。

「会社・法人情報直接入力」にチェックを入れると画面がスッキリ(?)すると思うので、以下の項目を埋めていきます。

ちなみに、自分が実際に登記申請をした時と、このブログを書いている時点とを比較すると、項目が増えています(増えた項目は赤マーカーを付記)。

  • 会社種別
  • 商号(フリガナ)
  • 商号
  • 本店
  • 登記の事由
  • 課税標準金額
  • 登録免許税額
  • 納付方法
  • 添付書類
  • 別送の有無
  • 印鑑届出の有無
  • 申請人
  • 申請先登記所

今回は一人社長の合同会社で、資本金100万円、現物出資はないケースです。

項目入力内容
会社種別合同会社
商号(フリガナ)会社名(フリガナ)
登記すべき事項下記補足参照
商号会社名
本店住所を正確に入力
登記の事由以下の文章を記入
-----
設立の手続終了
課税標準金額1000000(資本金の額)
登録免許税額60000(6万円)
納付方法電子納付
添付書類以下の文章を記入
-----
定款 1通
代表社員、本店所在地及び資本金決定書 1通
就任承諾書 1通
印鑑証明書 1通
払込みがあったことを証する書面 1通
別送の有無
印鑑届出の有無
申請人本店:上記「本店」と同じ住所
商号:上記「商号」と同じ名前
代表者住所:自分の住所。個人の印鑑証明に記載してある内容と一言一句同じ文字で。
資格:代表社員
氏名:自分の名前。個人の印鑑証明に記載してある内容と一言一句同じ文字で。
申請先登記所「申請先登記所選択」をクリックし、出てきたところから行くのに便利そうなところを選択する。

全部入力して、メニューの「チェック」をクリックしてエラーがなければ完了です。

完了」をクリックして終了します。

補足

いくつか補足します。

登記すべき事項」は、まずは「別紙表示」をクリック。

別紙用のダイアログが開くので、会社設立 freee前回作成した「登記申請書」の PDF の「別紙(OCR用紙)」の内容をコピペします。

こんな感じになります。

「作成例の種別」で「合資会社・合名会社・合同会社関係」を選び、「作成例」で「0104合同・設立」を選んでから「転記」をクリックすると、標準的に記載する内容を「別紙」に書いてくれます。

が、会社設立 freee を使っているのであればこの転記を使う必要はありません。

登記の事由」は、「設立の手続終了」とだけ書いておけば良いです。

「キミなんで登記するの?」と聞かれて、「いや会社設立の準備できたから」と回答しているというワケです(ドロップダウンリストで選択式にしてくれてもいい気はする)。

登録免許税額」は、資本金の 1,000分の7となります(ただし6万円に満たない時は6万円)。

資本金の額に合わせて調整してください。

No.7191 登録免許税の税額表|国税庁

添付書類」は、このあと添付する書類のリストを文章で書きます。

会社設立 freee で登記に必要な書類を作っている場合、「登記申請書」の PDF の目次に「添付書類」のリストがあると思います。それをそのまま記載すれば OK です。

ちなみに、自分が登記した際はオンラインでは印鑑の届出ができなかったため、「印鑑証明書」は記載しませんでした。

別送の有無」は名前の通りだと思いますが、こちらも自分が登記した時にはなかった項目です。

今回は全部オンラインでできるはずなので「」で良いと思います。

添付書類の添付

ここから、手順があっているか自信がありません・・・自己責任でお願いします。

というのも、自分のケースでは、最終的には法務局から「署名が付与されていない」と指摘をいただいたためです(結局、登記申請自体はオンラインで行いましたが、書類は別途郵送で法務局へ送りました)。

電子署名の付与

先ほど、「添付書類」でリストアップした書類に電子署名を付与し、添付します。

メニュー画面の「ツール」→「PDF署名」をクリック。

右側の「参照」をクリックし、添付ファイルを1つずつ選択・追加していきます。

最後に、「出力先」の「参照」ボタンをクリックし、出力先フォルダを指定します。

ICカードで署名」をクリックすると、

と出てくるので、パソリを接続し、マイナンバーカードをセットします。

マイナンバーカードの「署名用電子証明書暗証番号」を入力し、「確定」をクリックします。
が・・・

エラー。何回やってもエラー。接続しなおしてもエラー。

これに苦しめられている方は多数いるもようです・・・

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え~、ブログの更新、久々です。 え~、いろいろありまして土地を相続をすることになりました。 土地相続の手続きをどこに頼んでいいいかもわからないので、 自分でやってみることにしました。 というわけで

結論としては、運です。自分の環境では、何をやってもダメでした。

何回かトライするとたまに成功する。そんな感じです。

自分の環境では効果ありませんでしたが、以下の手順で IC カードライブラリを切り替えると効果があるそうです。

ツール」→「オプション」を選択。

ICカード切替」タブを選択。

ドロップダウンリストから、「公的個人認証サービス(個人番号カード)」を選択します。

何回か「OK」をクリックして進んでいき、適用させます。

この状態で、再度「PDFファイルの署名」にトライしましょう。運が良ければ署名できます。

署名ファイルの添付

申請用総合ソフトのトップ画面で「商業・法人」タブをクリックすると、先ほど作成した件名の行が1つできているはずです。

それをクリックし、上部メニューから「ファイル添付」をクリックします。

署名付きPDFフォルダ追加」をクリックし、先ほど署名して生成されたフォルダ(xml ファイルが生成されているフォルダ)を指定します。

上の図では、「定款」のみ既に freee で署名されているので、そのままとしました。
(これがマズかったのかもしれない・・・)

添付し終わったら「保存」をクリックします。

電子署名の付与

最後に、申請書類全体に対して電子署名を付与します。

上部メニューより「署名付与」をクリック。

先ほどの添付ファイルと同様に、「ICカードで署名」で署名します。

運が良ければ署名できるので、根気よく続けましょう。
(署名が終わると、「」のマークがつきます)

登記情報の送信

同じくメニューから、「申請データ送信」をクリック。

なんか怖そうな表示がでるが、どうも無視していいらしい・・・。

送信対象にチェックを入れ、「送信」をクリックすると送信が行われます。

送信が終わると法務局で受理されるようになり、「審査状況」が「審査中」に変わります。

登録免許税の納付

申請が受理されたら、すぐに登録免許税を納付しましょう。

納付は Pay-easy(ペイジー)を使うのが楽です。

三井住友などのメガバンク系、ネットバンクの場合は楽天銀行がペイジーに対応しています。

上の図の右側の「納付」をクリックすると、納付番号や収納機関番号が表示されているので、これを使ってペイジーで振り込みしましょう。

オンライン登記をやろうとしているような方であれば、説明不要でサクッとできるでしょう。

まとめ

いかがだったでしょうか。

超しんどいですよね。

ここまで全てやれたあなたは偉いです。

ごほうびというわけではないですが・・・オンライン登記ができるくらいのスキルがある方であれば、この後の印鑑証明書や登記事項証明書取得の申請は超カンタンに感じられるでしょう。

通常、法務局に行って取得する必要があるこれらの書類を、オンラインで申請して郵送してもらえるので、かなりラクです。

ちなみに途中でも触れましたが、自分のケースでは、送信後法務局から電話がかかってきて、添付書類に署名がついていないと言われました。

いちいちやり取りするのも面倒だったので・・・結局印刷した書類を法務局へ郵送。

書留で送りましたが、法務局へ書類が到着したその日には受理されて、何事もなく登記は完了しました。

長くなってしまったので、印鑑カード申請などはまた次回以降とさせてください・・・

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